
今、InstagramやPinterestなどで人気の「レトロ写真」。 加工アプリでの再現も人気ですが、実は“撮影時”に少し意識を変えるだけで、 もっと自然で本格的な「エモい雰囲気」が作れることをご存知ですか?
この記事では、写真初心者〜中級者の方に向けて、 実際の撮影時に押さえておきたい”7つのコツ”を、具体的なテクニックとともにご紹介します。
スマホでも一眼でも応用可能な内容なので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 逆光・斜光を活かす
レトロ写真に欠かせないのが「光の演出」です。 特におすすめなのは、逆光(被写体の背後から光が当たる)や斜光(斜めから差し込む光)を取り入れること。
光がにじんだり、ふわっとしたフレアが生まれることで、 まるで昭和のアルバムのような“懐かしさ”を表現できます。
朝のやわらかい日差しや、夕方のオレンジがかった光が最適です。 あえて太陽を画面に入れてみ
るのも◎。
逆光撮影の効果とは?
- 被写体がシルエットになり、余白が強調される
- レンズフレア(光のにじみ)が自然に発生する
- 暗部にノスタルジーが生まれる
コツ
- 露出補正を+0.5〜+1.0程度にして暗くなりすぎないように
- 日の入り1時間前の「マジックアワー」が理想
- スマホならHDRをオフにするとフレアが強調されやすい


2. 構図は“ゆるめ”が正解
レトロ感を出すには、“カチッとした構図”は必要ありません。 むしろ、「少しズレている」「傾いている」「中央じゃない」くらいの “ゆるさ”が大切です。
例:
- 人物をフレームの端に配置する
- 左右非対称の構図にする
- あえてピントを外す(前ボケなど)
こうした曖昧さが、「昔のスナップ写真感」につながります。
構図の工夫
- 三分割構図よりも、あえて中央ずらしや“被写体切れ”を取り入れる
- カメラやスマホを少し傾けて、自然な視線に近づける
- 全体を水平・垂直に整えないことで“記録写真っぽさ”が生まれる
《例え》昔のアルバムにある“ブレてるけど味のある写真”をイメージ

3. 余白で“静けさ”を演出
現代のSNS写真は、情報量が多くなりがち。 ですがレトロ写真は「間」が命です。
空や壁など“意味のない空間”をしっかり写すことで、 静かで、余韻のある画面になります。
特に、画面の3分の1以上を空にした構図や、 遠くの被写体を小さく写す引き画が有効です。
なぜ余白が大事?
- 被写体の“孤独感”や“過去感”を引き出せる
- 昔のポストカードや広告風の雰囲気が出る
- 加工で粒子を加えたとき、余白があると映える
具体的な撮影例
- 背景に空・壁・空間があるカフェ
- 一人佇む人を斜め遠くから捉える
- 日常の小物(本、コップ)を机の端に置く
《例え》昭和の文庫本の表紙や、雑誌のスナップ風

4. 露出オーバーを恐れない
最近のデジタル写真では「露出=適正」が基本ですが、 レトロ表現では“ちょっと明るすぎる”くらいが正解です。
明るく飛んだハイライトや、白っぽい空、 光に包まれた人物などは、むしろ“味”になります。
もちろん全体が真っ白ではNGですが、 少し露出をプラス補正して撮ることで、 “色あせた昭和感”が自然と出てきます。
目安の設定
- 露出補正:+0.3〜+1.0
- ISO:オート or やや高め(フィルム風のノイズ演出)
撮影シーン例
- 曇りの日に光が全体的に柔らかい場所
- 白系の被写体(服、食器、本など)
《例え》色褪せた昭和の写真集にあるような“白飛び一歩手前”の仕上がり
・レトロデザイン&物理ダイヤルで操作感も抜群
・スマホ送信もできて、SNSにもすぐアップOK
・「写ルンです風」写真をリアルにプリントして楽しめる
5. 被写体選びは“地味なくらい”がちょうどいい
レトロ写真を撮るとき、多くの初心者が「派手なもの」「フォトスポット」「有名な風景」など、いわゆる“映える場所”を選びがちです。しかし実際には、レトロ感を引き出すには“地味さ”や“生活感”こそが重要です。
レトロ写真における“地味な被写体”の魅力とは?
1. 記憶や感情とリンクしやすい
レトロとは“過去の記憶を呼び起こす表現”です。
そのため、幼い頃の記憶にあるような日常的な風景や物に、人は懐かしさやエモさを感じます。
- 昭和風のカフェや団地、公園のベンチ
- くすんだカラーの洋服や看板
- 古びた木の家具や雑貨
2. 時間の経過を感じさせる
新築や現代的デザインには“時代性”がありません。
一方、少し色あせた木製のテーブルや、剥げかけた壁などには、人が暮らしてきた痕跡=時間の重みが宿っています。
「ちょっと古い」「ちょっと生活感がある」 これがレトロの美学です。
6. 距離感を工夫する(接写 or 引き)
スマホだとつい標準距離で撮りがちですが、 レトロ感を出すには「極端さ」がポイントです。
- ぐっと寄って“質感”を見せる(フィルム粒子を想像させる)
- 思い切り引いて、余白を活かす(空間と時間を感じさせる)
この“寄りと引き”をうまく組み合わせることで、 画面に「詩的な間」が生まれます。
極端な“寄り”構図
- 花の一部だけ/顔の目元だけ/コーヒーの泡だけ など
- 余白がないのでインパクトあり
極端な“引き”構図
- 人物を画面の端に小さく配置
- 景色や空間を大きくとることで「孤独感」や「物語性」が生まれる
《例え》映画のワンシーンのような“感情を感じる引き構図”
7. スマホ撮影のコツも忘れずに
高価なカメラがなくても、スマホでも十分レトロ写真は撮れます。大切なのは、「どう撮るか」の視点です。
おすすめ設定:
- 明るさを少し+に補正(露出UP)
- HDRをOFF(自然な明暗差を活かす)
- 広角よりも標準 or ズームレンズを使用
また、アプリのグリッド線を活用すると、 構図を“少しズラす”時にも迷わず撮れます。
プラスαで“差が出る”レトロ写真のスマホ撮影テク
撮影前に“レンズを指で拭く”とやわらかいボケが出やすい(あえて少し曇らせる)
- 軽く曇ったレンズで撮ると、光がにじみやすくなり、レトロな柔らかい印象が作れます
- 拭きすぎると曇りが取れてしまうので「息を吹きかけて指先で軽く触れる」くらいがベスト
「透明なセロファン」や「サランラップ」でフィルター代わりに
- レンズの前に**くすんだラップやカラーセロファン(黄、オレンジ)**を当てると加工アプリ不要のフィルター効果が出せます
- オレンジセロファン → 夕焼け風のレトロ感
- くしゃくしゃにしたラップ → 光の滲みを演出
まとめ
レトロ写真は、編集や加工のテクニックだけでなく、シャッターを切る瞬間の“目の付け所”と“余白の活かし方”で印象が大きく変わります。
完璧な構図や高解像度にとらわれず、「少しだけ曇ったレンズで」「少しだけ傾いたフレームで」「少しだけピントを外して」──
そんな“ちょっとした不完全さ”が、むしろレトロ感を引き立ててくれるのです。
具体的には、
- 光を読むこと:逆光や斜光、自然光の柔らかさを味方にする
- 構図を整えすぎないこと:端が切れていても、ピントが甘くても味になる
- 被写体を探しすぎないこと:何でもない日常の一角にこそ、記憶に残る情景が眠っています
大切なのは、「何を撮るか」ではなく「どんな気持ちで切り取るか」。
“懐かしくて優しい”エモい1枚は、気合よりも“ちょっとした脱力”と感性の中に宿っているのです。ぜひ、肩の力を抜いて、あなたにしか見えないレトロな風景を写してみてください。


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